代表ブログ

2017年9月19日|カテゴリー「豆知識
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 近年行われた法律の大改正といえば、2006年の「新会社法」施行を思い浮かべる方も多いかと思います。
 有限会社設立の廃止や、合同会社の誕生など色々とありましたね・・・。
 私は、就職したばかりで、むしろ新会社法から学ぶことができたため、あまり苦労しませんでしたが、今回は違います。

 ばっちり、改正前の民法(以下「現行民法」という。)で暗記しているため、初学者に逆戻りするような気分です。
 そのため、民法の大改正(以下「改正民法」という。)に係る記事や条文は、あまり見ないようにしていました・・・。
 しかしながら、公布されてしまったからには、そうも行きません。
 末端ながら、プロとして、ここは頑張るときです。
 
 現行民法は、「学問」という意味では面白いものでしたが、あくまでも明治時代に作られたものであり、現代社会とかけ離れたルールが数多く存在しています。
 今回、ようやくそれを大きく改正する動きとなりました。

 さて、どのような感じに変わるのでしょうか?
 今回は、「債権法」に焦点を当てて、少し考察してみたいと思います。
 
 例えば、コンビニでお弁当を買うといった、私自身、普段、何気なくしている行動(取り引き)も、法律的な言葉に置き換えると、「売買契約」であり、「諾成・双務・有償契約」と呼ばれる法律行為となります(民法555条)。

 ここで、「諾成」とは、当事者の合意のみで成立することをいい、「双務」とは、互いに給付義務を有しているという意味であり、上述の例でいいますと、お店側の目線では、私が指定したお弁当を提供する義務があり、一方、私の目線としては、それに対する対価を支払う義務が生じているのです。
 なお、「有償」とは、当事者双方が給付するものに財産的価値があるという意味です。

 このバランスが成り立っている間は、法律に則った行為が自然と行われているため問題ありませんが、一方がその役割を懈怠したとき(=債務不履行があったとき)に初めて、法律が顔を出すこととなります。
 
 ただ、コンビニの例で話を続けるのは限界があるため、もっと大きな買い物として、「家」や「自動車」を購入することを想定したお話をさせていただきます。

 【事例 1】
 売主(A)から買主(B)が新築の建売住宅を購入する契約をしました(どの建売物件を購入するかは特定済みです。)。
 契約は無事に満了しましたが、もし、実際に家を引き渡される前に、落雷(天災)により、家が全焼してしまった場合、Bさんは、それでも支払いをしなければならないでしょうか?

 いきなりですが、これは、いわゆる「危険負担」と呼ばれる問題になります。
 債権者と債務者、そのどちらが家の焼失に関する危険(責任)を負担するのかということです。
 この事例に関して結論を言えば、現行法においては、Bさんは支払義務を免れず、Aさんは売買代金の請求を引き続き行えるということになります(債権者主義:民法534条)。
 「契約自由の原則」に基づき、これと異なる定めを置くことももちろん可能ですが、条文だけを見てみると「??」と不合理に感じる方もいるのではと思料します。

 では、改正民法ではどうでしょうか?
 Bさんが、引き続き支払いを行わなければならないか否かが、大きなポイントとなります。
 条文で確認してみましょう。

 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる(改正民法536条1項)。

 ・当事者双方の責めに帰することができない事由 → 落雷
 ・債務を履行することができなくなったとき → 建売住宅の引き渡し
 ・債権者は → Bさん
 ・反対給付の履行を拒むことができる → 売買代金の請求を拒むことができる。

 いかがでしょうか。
 Bさんは、焼失してしまった家の支払いをしなくていいという帰結になり、現行法とは結論がひっくり返っていることがよく分かります。

 
 【事例 2】
 売主(A)から買主(B)が「中古」の自動車を買い受ける契約をしました。
 しかし、後日、契約当初からエンジン(重要部分)に欠陥があることが判明したという場合です。

 中古車の契約状況にもよるため、こちらは安易に書ける事例ではありませんが、「売主の瑕疵担保責任(民法570条)」の適用の可否が問題となります。
 そもそも、「瑕疵担保責任」とは?
 ちょっと聞き慣れない言葉ですが、もう少々お付き合いください。
 簡単に申し上げると、一般の人では簡単に発見できないような瑕疵(欠陥) があった場合に、売主が買主に対して負わなければならない責任のことをいいます。
 これは、法が特に定めた無過失責任(逃れられない責任)であるため、非常に強力です。
 そのため、単なる瑕疵には適用されず、隠れた瑕疵(目的物が通常有すべき性質・性能を持っていないこと)でなければなりません。
 
 今回の事例におけるエンジンの欠陥が、隠れた瑕疵に該当するとした場合、現行民法において、Bさんは、Aさんの責任の有無に関わらず、損害賠償を請求することが可能となります。
 これは、事例 1と異なり、個人的には納得のいきやすい結論に思われます。

 ではでは、こちらも改正民法ではどうなるでしょうか?
 と、ここで少し驚きの展開が・・・。
 適用される条文自体が大幅に変更となります。

 具体的には、債務不履行の一般原則を定めた、改正民法415条で一元処理されることとなり、結論も、以下のように分かれます。
 ・Aさんに責任があるとき → 損害賠償の請求ができる。
 ・Aさんに責任がないとき → 損害賠償の請求ができない。

 確かに、現行民法におけるAさんの責任は非常に重く、当事者の公平を保つためには、改正民法が適しているようにも感じます。
 ただし、改正民法において、Aさんの責任の度合いが重くなる部分もあります。
 
 それは、「損害賠償の範囲」です。
 現行法では、Bさんが欠陥車を乗ることにより無駄にしてしまった利益(信頼利益)を賠償すれば良いだけでした。
 しかしながら、改正民法においては、Bさんが最初から欠陥のない車に乗れていれば得られていたであろう利益(履行利益)までもが賠償の範囲とされています。

 以上、事例を2つ挙げて考察してみましたが、いかがでしょうか?
 民法は1,000以上の条文から成り立っているため、ほんの一部の御紹介です。
 ただ、債権法だけ見ても分かるとおり、皆様の生活に非常に密接・不可分な法律です。

 これを機に、本屋さんで「民法入門」を手に取り、秋の夜長に読みふけってみては?と考えます(^ ^)

2017年8月24日|カテゴリー「豆知識
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 日本では、高齢化の急速な進展が問題となっており、その需要に対応すべき介護従事者の不足も深刻化しています(要介護者:564万人(H25年度)、介護従事者:171万人(同))。

 今後、その需要が更に高まることは、公然の事実です。


 それらを背景として、平成281128日、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)が公布され、本年111日から施行されることとなりました。


 また、同時に、「出入国管理及び難民認定法」(改正入管法)の一部が改正され、在留資格に「介護」が創設され、介護福祉士の国家資格を有する外国人は、介護施設等との契約に基づき、介護又は介護の指導の業務に従事することが可能となります(平成2991日施行)。

 

 典型的な流れとしては、在留資格「留学」で入国した外国人が、介護福祉士養成施設で修学し(2年以上)、介護福祉士の国家資格を取得することで、在留資格「介護」へ変更することが認められ、介護の現場へ従事することとなります。 


 現在、EPA(経済連携協定)により、インドネシア、フィリピン及びベトナムの3か国ついては、介護福祉士候補者としての入国が認められていますが(在留資格「特定活動」)、この度の法改正による受け入れは、EPAとは異なり、国籍の制限は特にありません。


 なぜなら、これらの取り組みは、日本の介護の技術を、開発途上国等へも移転し、人材育成(人づくり)を通じて、国際協力の推進を図ることが主な趣旨とされているからです。


 したがって、単に、日本が抱える介護人材の不足への早急な対応を目的としているものではないという説明になります。


 冒頭に記述した「高齢化問題」と直結しないようにも思われますが、現行制度では、介護福祉士養成施設(=大学、専門学校等)の留学生が介護福祉士の資格を取得しても、日本国内で介護業務に就けないという不都合が生じています。


 在留資格「介護」が認められることにより、国籍を問わず、質の高い人材が介護の現場に身を投じることができるようになることで、結果的に介護人材の不足もある程度解消するのであれば、そこに大きな意義があるのではないかと考えます。


 外国人介護士が参入することで、「倫理観」や「宗教」等の違いにより様々な問題・課題が生じることも必然ですが、そちらについては、介護に精通した専門家の方達が良い方向に導いてくれることと信じ、私見は控えます。


 行政書士としては、新たに創設される在留資格の制度趣旨についての理解を深め、サポートを必要とする外国人に対して、スムーズなサービスの提供ができるよう努めていきたいと思料します。

2017年8月16日|カテゴリー「豆知識
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 本年5月29日から、「法定相続情報証明制度」(以下、「本制度」という。)が始まりました。

 人が亡くなったとき、相続人はその権利・義務を承継し、相続手続を行わなければなりません。 

 しかしながら、近年、特に不動産について、所有権移転登記(相続登記)の未了により、「所有者が不明」となることが社会問題となっています。

 いわゆる「空き家問題」等もこれに属するものです。

 その要因として、現行の相続手続制度は、膨大な書類(戸籍・除籍謄本等の収集)及び煩雑な手順を要することから、一般の方には抵抗が大きく、結果的に放置されてしまう傾向にあることが指摘されています。

 本制度の発足により、相続人が法務局(登記所)に対し、必要書類を提出することにより、登記官がその内容を確認のうえ、「法定相続情報一覧図の写し」(以下、単に「証明書」という。)が交付されます。

 現行制度では、いちいち書類の返却等のやり取りを要しますが、本制度はこれを簡素化し、あらかじめ必要な通数の証明書を請求することにより、銀行や法務局での手続を同時進行的に進められることに大きな意義があります。

 本制度は、相続登記の促進を主な目的としておりますが、不動産を含まない場合についても利用することが可能となるため、亡くなられた方(被相続人)名義の預金の払戻し等にも、証明書をもって、簡単に手続を行うことができます。

 ところで、「相続手続」は、行政書士の主な業務の一つです。

 私も、本制度についてはまだ勉強中ですが、効率よく相続手続を行うために、本制度を利用することを念頭に仕事をしております。

 詳細も含めまして、当事務所へお気軽にお問い合わせください。

 最後に、今日は、送り盆です。

 御先祖様が大切に遺された土地等について、きちんと整理がなされているかどうか、この機会に御家族と話し合ってみるのも良いのでは(^ ^)