2017年11月20日|カテゴリー「豆知識
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 今回は、行政書士としてではなく、過去に人事担当者であったときの経験に基づき、書かせていただきます。

 公務員を退職後、父が経営する会社へしばし従事して思いましたが、特に中小企業や個人経営の場合、残業代(超過勤務手当)を、請求された時間分だけ、満額(以上)で支給してしまうケースが多いように見受けられます。
 また、いわゆる割増率に対する認識にも誤りがありました。

 まず、労働基準法の原則的な規定ですが、「1日に8時間、週に40時間を超える労働をさせてはならない。」とされています。
 これを、「法定労働時間」といいます。

 そして、この原則を超えた労働時間を「法定外労働時間=残業」と呼びます。
 
 ここまでの認識はほぼ共通だと思いますが、では、定時を過ぎてもいた時間すべて残業か?等という点で大きく異なり、違法又は不当な残業代の支払が行われている実態があります。

 色々な事例があると思いますが、ここでは4つほど取り上げます。

【事例1】
 (残業代欲しさもあり)勝手に行った自己都合による場合は、請求できるか?

 これは、もちろん請求できませんね。
 本来、超過勤務命令権者(上司や店長)から、時間外労働の命令を受けて、初めて発生するものです。
 命令権者に対して、残業をしても良いかどうか、その都度、確認しましょう。

【事例2】
 適法な残業を行った場合において、喫煙や夜食等の小休憩を何度か行った時間も込みで請求できるか?

 残業代とは、本来業務の職務に専念した時間のみを指します。
 タイムカードの入出記録だけで判断せず、きちんと「超過勤務命令簿」への記載を行い、本当に業務を行った時間分だけを請求・支給するのが筋です。
 パソコン等の端末を落とす時間や、帰宅の準備(着替え)をする時間も残業には該当しません。
 
【事例3】
 以下、割増率の問題です。
 始業9:00 → 終業17:00(うち、昼休み1時間)であった場合、定時以降の残業はすべて、時間単価 × 1.25の割合で計算すべきか?

 この場合、実際に勤務している時間は、昼休みを除く7時間ですので、前述した労働基準法の8時間を超えていません。
 したがって、少なくとも17:00から18:00までの1時間については、時間単価 × 1.00で計算すべきであり、すべての時間を時間単価 × 1.25で計算するのは正しくありません。
 まさに、不当利得です。

【事例4】
 就業規則で、土日が休日と定められている場合に、土曜日に急な出勤を命じられた場合、「休日割増賃金」である時間単価 × 1.35の割合で計算すべきか?

 これも、安易に休日出勤の割増率を乗じるべきではありません。
 労働基準法では、週1日の「法定休日」を与えると定めています。
 したがって、土曜日という1日が、その法定休日に該当するのか、又は就業規則により任意に定めた週休日なのかを考えなければなりません。
 もし、単なる週休日であるならば、土曜日に働くことで、週40時間の制約を超える部分について、平日同様の考え方で、時間単価 × 1.25の計算を行えば良いこととなります。
 1.35という数値が現れるのは、法定休日の場合だけです。
 なお、繁忙期と閑散期が大きく分かれるような業態については、「変態労働時間制」という別の制度が設けられています。

 その他、いわゆる「360協定」の問題等、代表的な労使間でのトラブルは多々ありますが、冒頭で述べたとおり、素人に毛が生えたようなレベルの知識ですので、参考になれば幸いです。
2017年10月18日|カテゴリー「日記
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 私が受験したのは、ちょうど10年前、平成19年のこと。


 当時は、野心的な情熱を持った、若き25歳でしたw


 試験に落ちる気など毛頭なく、勉強に励みましたが、取り組んだ期間は8月から10月の3か月間のみです(もちろん、その期間中は、遊ぶことを一切封印し、毎晩夜遅くまで同じスタンスで勉強しました。)。


 現在、その3か月間の努力により取得した資格に、結果的に助けられてはいますが、正直、とても複雑な心境です・・・。


 人並み以上の努力はしたつもりですが、人生かけるほど頑張ってもいないからです。

 

  国家公務員試験の方がよっぽど人生かけました。


 ピリピリ状態の受験生の皆さんや、これから受験を考えている方へ。


 客観的な想いを申し上げます。


 自分の資格を卑下するわけではありませんが、この程度の難易度の試験、サクッと受かってください。


 御存知のとおり、世の中、そんなに甘くありません。


 行政書士試験でたじろぐようであれば、「士業」の世界は、まず無理です(宅建士を除く。)。


 合格率10%未満の年がほとんどですが、だからどうした?と考えてください。

 少なくとも、何度もトライするような類の試験ではありません。


 と、好き放題書いたところで、私も「司法書士試験」の受験生という、肩身の狭い立場です・・・。


 来年で3回目の挑戦。


 共に頑張りましょう!


 ※参考 平成19年(2007年)の行政書士試験

    受験者数:65,157名、合格者:5,631名、合格率:8.64

2017年9月19日|カテゴリー「豆知識
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 近年行われた法律の大改正といえば、2006年の「新会社法」施行を思い浮かべる方も多いかと思います。
 有限会社設立の廃止や、合同会社の誕生など色々とありましたね・・・。
 私は、就職したばかりで、むしろ新会社法から学ぶことができたため、あまり苦労しませんでしたが、今回は違います。

 ばっちり、改正前の民法(以下「現行民法」という。)で暗記しているため、初学者に逆戻りするような気分です。
 そのため、民法の大改正(以下「改正民法」という。)に係る記事や条文は、あまり見ないようにしていました・・・。
 しかしながら、公布されてしまったからには、そうも行きません。
 末端ながら、プロとして、ここは頑張るときです。
 
 現行民法は、「学問」という意味では面白いものでしたが、あくまでも明治時代に作られたものであり、現代社会とかけ離れたルールが数多く存在しています。
 今回、ようやくそれを大きく改正する動きとなりました。

 さて、どのような感じに変わるのでしょうか?
 今回は、「債権法」に焦点を当てて、少し考察してみたいと思います。
 
 例えば、コンビニでお弁当を買うといった、私自身、普段、何気なくしている行動(取り引き)も、法律的な言葉に置き換えると、「売買契約」であり、「諾成・双務・有償契約」と呼ばれる法律行為となります(民法555条)。

 ここで、「諾成」とは、当事者の合意のみで成立することをいい、「双務」とは、互いに給付義務を有しているという意味であり、上述の例でいいますと、お店側の目線では、私が指定したお弁当を提供する義務があり、一方、私の目線としては、それに対する対価を支払う義務が生じているのです。
 なお、「有償」とは、当事者双方が給付するものに財産的価値があるという意味です。

 このバランスが成り立っている間は、法律に則った行為が自然と行われているため問題ありませんが、一方がその役割を懈怠したとき(=債務不履行があったとき)に初めて、法律が顔を出すこととなります。
 
 ただ、コンビニの例で話を続けるのは限界があるため、もっと大きな買い物として、「家」や「自動車」を購入することを想定したお話をさせていただきます。

 【事例 1】
 売主(A)から買主(B)が新築の建売住宅を購入する契約をしました(どの建売物件を購入するかは特定済みです。)。
 契約は無事に満了しましたが、もし、実際に家を引き渡される前に、落雷(天災)により、家が全焼してしまった場合、Bさんは、それでも支払いをしなければならないでしょうか?

 いきなりですが、これは、いわゆる「危険負担」と呼ばれる問題になります。
 債権者と債務者、そのどちらが家の焼失に関する危険(責任)を負担するのかということです。
 この事例に関して結論を言えば、現行法においては、Bさんは支払義務を免れず、Aさんは売買代金の請求を引き続き行えるということになります(債権者主義:民法534条)。
 「契約自由の原則」に基づき、これと異なる定めを置くことももちろん可能ですが、条文だけを見てみると「??」と不合理に感じる方もいるのではと思料します。

 では、改正民法ではどうでしょうか?
 Bさんが、引き続き支払いを行わなければならないか否かが、大きなポイントとなります。
 条文で確認してみましょう。

 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる(改正民法536条1項)。

 ・当事者双方の責めに帰することができない事由 → 落雷
 ・債務を履行することができなくなったとき → 建売住宅の引き渡し
 ・債権者は → Bさん
 ・反対給付の履行を拒むことができる → 売買代金の請求を拒むことができる。

 いかがでしょうか。
 Bさんは、焼失してしまった家の支払いをしなくていいという帰結になり、現行法とは結論がひっくり返っていることがよく分かります。

 
 【事例 2】
 売主(A)から買主(B)が「中古」の自動車を買い受ける契約をしました。
 しかし、後日、契約当初からエンジン(重要部分)に欠陥があることが判明したという場合です。

 中古車の契約状況にもよるため、こちらは安易に書ける事例ではありませんが、「売主の瑕疵担保責任(民法570条)」の適用の可否が問題となります。
 そもそも、「瑕疵担保責任」とは?
 ちょっと聞き慣れない言葉ですが、もう少々お付き合いください。
 簡単に申し上げると、一般の人では簡単に発見できないような瑕疵(欠陥) があった場合に、売主が買主に対して負わなければならない責任のことをいいます。
 これは、法が特に定めた無過失責任(逃れられない責任)であるため、非常に強力です。
 そのため、単なる瑕疵には適用されず、隠れた瑕疵(目的物が通常有すべき性質・性能を持っていないこと)でなければなりません。
 
 今回の事例におけるエンジンの欠陥が、隠れた瑕疵に該当するとした場合、現行民法において、Bさんは、Aさんの責任の有無に関わらず、損害賠償を請求することが可能となります。
 これは、事例 1と異なり、個人的には納得のいきやすい結論に思われます。

 ではでは、こちらも改正民法ではどうなるでしょうか?
 と、ここで少し驚きの展開が・・・。
 適用される条文自体が大幅に変更となります。

 具体的には、債務不履行の一般原則を定めた、改正民法415条で一元処理されることとなり、結論も、以下のように分かれます。
 ・Aさんに責任があるとき → 損害賠償の請求ができる。
 ・Aさんに責任がないとき → 損害賠償の請求ができない。

 確かに、現行民法におけるAさんの責任は非常に重く、当事者の公平を保つためには、改正民法が適しているようにも感じます。
 ただし、改正民法において、Aさんの責任の度合いが重くなる部分もあります。
 
 それは、「損害賠償の範囲」です。
 現行法では、Bさんが欠陥車を乗ることにより無駄にしてしまった利益(信頼利益)を賠償すれば良いだけでした。
 しかしながら、改正民法においては、Bさんが最初から欠陥のない車に乗れていれば得られていたであろう利益(履行利益)までもが賠償の範囲とされています。

 以上、事例を2つ挙げて考察してみましたが、いかがでしょうか?
 民法は1,000以上の条文から成り立っているため、ほんの一部の御紹介です。
 ただ、債権法だけ見ても分かるとおり、皆様の生活に非常に密接・不可分な法律です。

 これを機に、本屋さんで「民法入門」を手に取り、秋の夜長に読みふけってみては?と考えます(^ ^)

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