2018年6月24日|カテゴリー「豆知識
IMG_3409
 近年,御高齢のお客様を中心として,不動産(農地)を早めにお子さんへ承継したいという御相談がよくあります。

 この場合,行政書士としては,農地を移転するための前提条件である,「農地法第3条許可申請」を農業委員会に対して提出することが主な業務となります。

 しかしながら,実際に所有権が移転した後に生じる「贈与税」についても,ある程度の知識を有していなければなりません。

 贈与税の申告は,贈与を受けた年(農地の場合は,農業委員会の許可があった年)の翌年の2月1日から3月15日の間となり,その計算により,贈与税を収めることとなります。

 ここで,キーワードとなるのが,「相続時精算課税制度」というものの存在です。

 この制度は,生前に贈与した金額のうち,2,500万円までは贈与税が課税されず,相続時に相続財産に加算して,相続税が計算されるというものです。

 つまり,贈与税をすぐに収める必要はなく,相続が発生するまで,先延ばしにすることができます。
 ※決してタダになるわけではないという点に注意が必要です。

 その詳細は,税理士さんのブログ等を読まれた方が詳しく記載がなされていると思いますが,特に不動産の贈与に係る贈与税は,その不動産評価額をベースに計算がされますので,高額になる場合も多いため,同制度を利用するという選択も大きなメリットがあります。

 同制度を利用したい場合には,贈与税の申告書に「相続時精算課税選択届書」を添付して,受贈者(贈与を受ける人)の住所地の所轄税務署長に提出することが必要です。

 もちろん,同制度の利用によるデメリットも存在しますので,生前贈与を行う際には,先に税務署へ御相談されることをお勧めしております。

 茨城県つくば市のHP行政書士事務所では,農地に関する手続も幅広く対応しておりますので,お気軽に御相談くださいませ。
贈与者
贈与をする者
贈与をした年の1月1日において,60歳以上の者であること
受贈者
贈与を受ける者
贈与を受けた年の1月1日において,20歳以上で,かつ,贈与を受けたときにおいて,贈与者の直系卑属である推定相続人,又は孫であること
2018年5月7日|カテゴリー「豆知識
fullsizeoutput_1800
 文章を書く際に,選択肢が増えるほど,いつも頭を悩ませるのが,標題に掲げた4つの用語の使い分けです。

 英語では,「and」,「or」で済むところ,やはり日本語は流石です。

 小難しいルールがございます。

 しかしながら,世の中の文章を見ていると,気分次第??で適当に使われているようにも感じます。

 ということで,自分のためにも,少し復習してみたいと思います。

 1 「又は」「若しくは」について
   まず,英語の「or」に該当するものです。
  
  (1)単純にAかBかを選択する場合 →  「A又はB」
     後述しますが,この時点で「A若しくはB」を書いたらアウトデラックスです。
   
  (2)並列的な関係のAかBかCを選択する場合 →  「A、B又はC」
     しばしば「A又はB又はC」という記載を見かけますが,これもアウトです。

  (3)並列的な関係でない,スモールaかBかCを選択する場合 →  「a又はB若しくはC」
     aとBとCは,並列的な関係にないため,ここで初めて「若しくは」が登場してきます。

 「又は」と「若しくは」の重要な点は以下のとおりです。
 ・「又は」の出てこない文章に,いきなり「若しくは」は出てこない。
 ・大きなグループの区切りは,「又は」を使用し,小さなグループの区切りは,「若しくは」を使用する。
  (3)に具体的なワードを入れると分かりやすいです。
  シャア(a)又は百式(B)若しくはサザビー(C)
  シャアが人名なのに対して,百式とサザビーはMS(モビールスーツ)ですので,グループが異なります。


 2 「及び」「並びに」について
   英語の「and」に該当するものです。

  (1)単純にAとBとを選択する場合 →  「A」及び「B」
     これは簡単です。

  (2)並列的な関係のAとBとCを選択する場合 →  「A、B及びC」
     これも1(2)同様に,「A及びB及びC」ではありません。

  (3)並列的な関係でない,スモールaとBとCを選択する場合 →  「a並びにB及びC」
     初めて「並びに」が登場します。

 重要な点は,「又は」「若しくは」とほぼ同じですが,大きな違いにお気づきでしょうか?
 大きなグループを区切るのが「又は」の役割であったのに対して,こちらでは,「及び」ではなく,「並びに」がその役割を果たしています。
 なお,「若しくは」同様,「及び」のない文章に,いきなり「並びに」は出てきません。

 3 「又は」「若しくは」「及び」「並びに」が複合する場合について
   上述したルールを踏まえても,頭を悩ませるのがこちらです・・・。

   例)D(人(自然人)又は会社(法人))の氏名(名称)、年齢、住所(所在)が知りたい場合
   
     Dの氏名及び年齢又は名称並びに住所若しくは所在

     少々自信がなくなってきましたが,このようになるはずです。

     この一文で以下のことが問われています。
     Dが自然人の場合:氏名、年齢、住所
       〃 法 人の場合:名称、所在 ※法人には,「年齢」がありません。

 いかがでしたでしょうか?
 
 このような文章のルールは,法律に従事する者だけの問題ではありません。
 
 良い頭の体操になれば幸いです( ´∀`)
2018年5月3日|カテゴリー「豆知識
IMG_7454
 難解で手間や時間もかかるため,長期間に渡り放置されがちな相続手続ですが,相続人となった方が,その権利・義務を行使しないでいると,思わぬ災難に遭遇する場合があります。

 今回は,相続人となった方が,被相続人の死後にとるべき行動について御説明いたします。

 亡くなられた方(以下「被相続人」という。)の死亡により,相続が開始することは御存知かと思いますが,当然ながら,身近な人間の死を目の当たりにし,手続的なことは後まわしになってしまうのが実情かと思います。

 しかしながら,法的には,待ってもらえないケースも存在します。

 相続が開始した場合,すべての相続財産を承継するのが原則となります。
 これを「単純承認」といいます。

 しかし,被相続人が,必ずしも不動産や預貯金等(プラスの財産)を残している方ばかりとは限りません。
 中には,事情により,多額の借金を残したまま(マイナスの財産)という場合も考えられます。

 民法では,そうした場合に備えて,財産を受け継がないための例外的な制度を認めています。

 具体的には,「限定承認」と「相続放棄」という二つの制度が用意されていますが,いつまでもその選択の自由を認めるとすると,法的安定性に欠けるため,早めの対応が求められます。
 また,家庭裁判所への申述も必要になります。

 裁判所の関与はともかくとして,特に注視すべきは,どちらの制度も,「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければならない」という点です。

 これを「熟慮期間」といい,それだけの期間があれば,相続するか否かについて,十分に判断できるだけの期間があるとのことですが,実際にはどうでしょうか?

 個人的には,「3か月」という期間は,あっという間に過ぎてしまうような気がいたします。

  過去のブログでも書きましたが,「相続放棄」が絡んだ事案があり,ここでも,「3か月」という期間の起算点について,非常に悩まされたことを記憶しています。
 
 なお,あくまでも相続の開始を知った時からであり,必ずしも,その起算点は,被相続人の「死亡した日」と一致しません。

 いずれにしても,被相続人の死亡から長期間経っているような場合については,原則どおり,「単純承認」の道しか残されておらず,マイナスの財産も含めて,すべてを相続することとなります。

 したがって,マイナスの財産が多いことが明らかな場合や,そもそも,どのような相続財産があるのか不明な場合等は,早めに行動されることをお勧めいたします。
 以下,「単純承認」,「限定承認」及び「相続放棄」を表にいたしますので,参考になさってください。

 茨城県つくば市のHP行政書士事務所では,相続(遺産分割協議)に関する業務を行っております。

 是非,御活用ください。
名 称        内 容       方 法
単純承認 すべての相続財産を承継する。 特になし(原則どおり)。
限定承認 すべての相続財産を承継するが,マイナスの財産については,自己の取得した相続財産の範囲内でのみ支払う。 相続人「全員」が3か月以内に裁判所へ申述する。
相続放棄 そもそも相続人とならない。 相続人「各人」が3か月以内に裁判所へ申述する。
609e90be40caa3d56b9b22d46fb245be